Public International Law Blog
International legal news mainly developments in litigation and arbitration, and sometimes my own updates
22 January 2024
21 January 2024
エネルギー憲章条約に基づくアゼルバイジャン・アルメニア間国家間仲裁、手続が少し進む
昨年2月にエネルギー憲章条約に基づく仲裁付託が公表されていた本件ですが、その後しばらく進展の報がなかったところ、1月12日に最初の手続会合を常設仲裁裁判所(PCA)で開催した旨をアゼルバイジャン側が公表しました。ただ、PCAを事務局とする旨明示されているわけではなく、PCAウェブサイトの係属事件リストにも本仲裁手続は今のところ掲載されていません。
アゼルバイジャンは、環境条約に基づいてアルメニアを相手取った仲裁申立てを行っていますが、こちらとは別件になります。
30 October 2023
欧州連合を相手取った投資仲裁の申立(おそらく2件目)
10月24付でICSID事務局に登録されました。エネルギー憲章条約に基づく仲裁申立です。欧州連合はエネルギー憲章条約の当事者ではありますが、ICSID条約の当事者ではないため、ICSIDの追加的制度に基づく手続が選択されています(ECT第26条4項(a)(ii))。
欧州連合を相手取った投資仲裁申立としてははおそらく2例目となります。1件目はロシアのウクライナ侵攻後有名になったノルドストリーム2による申立で、こちらはUNCITRAL仲裁規則に基づき常設仲裁裁判所で審理が進められていましたところ、今般の情勢を踏まえて手続が停止していました。その後、欧州連合が仲裁手続の打ち切りを申し立てていましたところ、仲裁廷は最近これを却下しました。制裁によって仲裁手続き自体が妨げられているわけではなく、またノルドストリーム2の操業に対する地政学的影響は実体判断に属する事項との判断によります。
19 May 2023
ヨーロッパ評議会、ロシアのウクライナ侵略により生じた損害を登録する機関を設立
04 April 2023
米連邦地裁、エネルギー憲章条約に基づく対スペイン仲裁判断の承認を拒絶
The most straightforward reading of [Art 26(6) ECT] is that any award issued by an arbitral tribunal established under the authority of Article 26 must be consistent with both the ECT itself and any other "rules and principles of international law" that apply to a dispute between the parties. As such, when resolving a dispute between an EU Member State and another EU national, the tribunal must apply "rules and principles" derived from the EU treaties--sources of international law--as those rules are "applicable" to the parties before it. Id. Because the agreement to arbitrate between Spain and the Companies was invalid under EU law, see Komstroy para. 66, there was no valid agreement to arbitrate as defined by the ECT itself. 6 As such, the tribunal lacked authority to decide the dispute, and any award was, by definition, ultra vires.
20 January 2023
アゼルバイジャン、環境条約に基づきアルメニアを相手取り国家間仲裁を申し立て
Any dispute between Contracting Parties concerning the interpretation or application of this Convention which has not been settled on the basis of the provisions of the preceding paragraph or by negotiation between the parties concerned shall, unless the said parties agree otherwise, be submitted, at the request of one of them, to arbitration. Each party shall designate an arbitrator and the two arbitrators shall designate a third arbitrator. Subject to the provisions of paragraph 3 of this article, if one of the parties has not designated its arbitrator within the three months following the request for arbitration, he shall be designated at the request of the other party by the President of the European Court of Human Rights within a further three months' period. The same procedure shall be observed if the arbitrators cannot agree on the choice of the third arbitrator within the three months following the designation of the two first arbitrators.
なお、アゼルバイジャンとアルメニアはいずれも本条約につき留保を付していないようです。
19 September 2022
17 September 2022
ロシアによる欧州人権条約廃棄の効力発生
2月25日に欧州評議会代表権が停止され、3月2日付の閣僚理事会決議では欧州人権条約の加盟国としての地位に影響しないことが確認されたものの、欧州評議会からのロシアの即時脱退を求める同15日付の議員会議意見と、ロシア政府より同日に提出された評議会脱退および条約廃棄の通告を踏まえ、閣僚理事会は3月16日付でロシアの欧州評議会加盟国資格の喪失を決議していました。その結果、欧州人権条約第58条の規定に基づき、通告から6か月後の9月16日にロシアの欧州人権条約の加盟国たる地位が喪失することを裁判所側も確認しており、昨日、その期日を迎えることになりました。これに伴い、ロシア国籍裁判官も裁判所の席を失うこととなりました。
今後数多く持ち込まれるであろう、ウクライナ侵攻に起因する対ロシア申立については、この9月16日が時間的管轄を決する決定的期日としてカギとなることが見込まれます。
21 May 2022
カナダ他40数か国、ウクライナによる対ロシア事件への訴訟参加を検討
ロシアによる「特別軍事作戦」開始の口実にもされたウクライナ・ドンバス地域の「ジェノサイド」については、その不存在確認を求めるウクライナの訴訟が注目を集めてきていますが、同手続への訴訟参加を検討する旨、20日付でカナダ政府が40数か国(+欧州連合)を代表して発表しました。
"Reaffirming our commitment to accountability and the rules-based international order, we hereby express our joint intention to explore all options to support Ukraine in its efforts before the ICJ and to consider a possible intervention in these proceedings."
共同声明発表国のうち、ルーマニア政府が一足先に発表していましたが、ウクライナ側の明示の要請が(少なくともルーマニア政府に対して)あったようです(ルーマニア外務省プレスリリース・原文はルーマニア語)。
訴訟参加の方式としては、裁判の影響を受ける利害関係国としての参加(規程62条)と、多数国間条約の解釈が問題となる場合の他の締約国の参加(規程63条2項)の2つがありますが、そもそもジェノサイド条約の締約国ではない国の名前がいくつか連なっており(マーシャル諸島、ミクロネシア、そして日本)、(欧州連合はともかく)これらの国がどのように訴訟参加の可能性を模索しているのかが気になります。
05 April 2022
ノルドストリーム2が申し立てていた投資仲裁手続が停止
16 March 2022
豪蘭、マレーシア航空17便(MH17)撃墜事件につきICAO理事会に共同付託
14日付で発表されました(オランダ政府の発表はこちらも)。(ブログ著者が聞き逃していなければ)「法的手続(legal proceedings)」を開始するとのみ述べられていますが、シカゴ条約上、締約国が付託する事項(matter)をICAO理事会が検討する手続(第54条n号)と、条約の解釈適用をめぐる締約国間の意見の相違(disagreement)について理事会が決定する手続(第84条)とがあります。ロシアの条約違反および責任を追及するという趣旨の言及、およびロシアが交渉から離脱した事実を強調していることから、後者の手続を念頭に置いたものと推察されます。ICAO理事会への紛争付託の前提条件として、当該紛争が「交渉により解決されない」ものであったことが求められており(同条)、本要件が充足していることを指摘する趣旨と位置づけられるかと思います。
締約国の代表からなるICAO理事会は、個人が独立の資格で行動するような司法機関ではないことから、どのような判断が下されるか予測が難しいところがあります。もっとも、ICAO理事会の決定に不服の場合には、アドホック仲裁廷あるいは国際司法裁判所への「上訴」も可能な仕組みとなっています(84条)。
MH17撃墜事件については、ウクライナがロシアを相手取り国際司法裁判所に提訴した係属中の事件の一部にも含まれていますが、本件とは紛争当事国が異なるに加えて請求原因となる国際条約も異なるため、仮に国際司法裁判所に「上訴」されるとしても、重複訴訟が問題となる余地は少ないかと思います。オランダは、欧州人権裁判所にもロシアを相手取った国家間申立を付託していますが、オーストラリアについては本件が最初の国際的な手続と思われます。犠牲者298名中、38名が豪州国籍と報告されています。
19 February 2022
スポーツ仲裁裁判所、フィギュアスケート・ワリエワ選手に関する仲裁判断を公開
北京オリンピックの女子フィギュアスケート競技に出場したロシア・オリンピック委員会のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva)選手のドーピング陽性判定を受け、ロシア・アンチドーピング機構(RUSADA)が同選手に対して暫定的資格停止処分を課したのに対し、ワリエワ選手の申し立てを受けたRUSADA・アンチドーピング規律委員会(Disciplinary Anti-Doping Committee:DADC)が同処分を取消したことが大きく報じられてきました。その後、国際オリンピック委員会(IOC)・世界ドーピング機構(WADA)・国際スケート連盟の3者が、DADCの決定の取消しを求める仲裁申立てを提起したところ、スポーツ仲裁裁判所(CAS)のアドホックパネルがこれを退けたため、陽性判定にもかかわらずワリエワ選手が競技に出場できたこと、そして競技の結果が(同選手にとって悲)劇的であったこともあってか、議論(批判)の矛先がCASパネルにも向けられています。
CASパネルの仲裁判断が2月14日付で下された際、これを発表するプレスリリースにおいて、ワリエワ選手が16歳未満の「要保護者(Protected Person)」であるという理由要旨が簡潔に言及されたためか、CASパネルが同選手の出場を(いわばパターナリスティックかつ政策的に)認めたかのように批判する論調も見られますが、17日付で公開された仲裁判断の理由付けにおいてCASパネルは、そうした単純な推論ではないことを強調しています(221項)。そこで本ポストでは、DADC決定の取消申立てを棄却したCASパネルの判断における「要保護者」の要素の位置づけを整理してみたいと思います。
■「要保護者」カテゴリー設定の趣旨
ここで懸案の「要保護者」概念はCASパネルの創造ではなく、適用法規である世界アンチドーピング規程に明文の根拠(定義規定)を持つものであり、違反時点で16歳未満の選手はこのカテゴリーに属するものとして扱われます(174頁)。こうした「要保護者」を通常のアスリートと区別して扱うのは、同規程コメンタリによれば、一定の年齢に到達していないアスリートは、アンチドーピング規則が禁止している行為を理解する知的能力を有していない場合がありうるとの理解に基づきます(同頁脚注127)。こうした理解を前提に、アンチドーピング規程は「要保護者」による規則違反に対しては、資格停止期間の短縮を含めた様々な特別規定を設けており、中でも、規則違反の認定に際してアスリートが証明すべき内容についても一定の差異が明示的に設けられている点が注目されます(172頁)。
■「要保護者」カテゴリーと証明責任・証明度
この点、本件におけるRUSADAの暫定的資格停止処分の根拠となる規程7.4.1条(およびそれを受けたロシア・アンチドーピング規則)においてはそうした区別が設けられておらず、違反が異物混入(コンタミ)によるものであった可能性がある(is likely)ことをアスリート側が証明した場合に、資格停止処分が取り消される旨一律に規定されています。そこで、DADCは、「要保護者」についてはより低い証明度を適用するのが適当であるとし、通常の証明度である「蓋然性の優劣」ではなく、異物混入があったことの「合理的可能性(reasonable possibility)」が示されれば足りるとの基準を定立したうえで、本件において結論としてそうした可能性が十分示されたことを根拠として(ワリエワ選手の祖父をめぐる話が意味を持つのはこの文脈)、暫定的資格停止処分を取り消しました(仲裁判断27-33項)。
これに対して国際スケート連盟は、「要保護者」についてそうした新たな証明度を定立することはアンチドーピング規則の潜脱を許すものであるとして反発します(89項)。仲裁手続上ではワリエワ選手とともに被申立人の立場に立ったRUSADAも、こうした条文の根拠がない証明責任の扱いに不満の意を表明しているところがあります(102項)。他方、処分取消決定を得たワリエワ選手側がDADCの判断枠組みを擁護するのはもちろんのこと、興味深いことに、申立人側に連なったIOCも、未成年の場合における特別の証拠規則の適用を想定しているように見受けられます(62項)。
■CASパネルの判断
以上のように、ワリエワ選手が「要保護者」であることは主としてドーピング規則違反について妥当する証明責任・証明度をめぐって論じられてきました。これらのを踏まえての懸案のCASパネルの判断ですが、結論としては処分取消決定を維持したものの、DADCとは異なる判断枠組みを示した点が注目されます。なお、CASパネルがRUSADAの処分を覆したかのように報じる向きも見られますが、RUSADAの処分を取り消したのはあくまでDADCであり、このDADC決定を不服とするIOC・WADA・国際スケート連盟の仲裁申立てを退けた(その結果として暫定的資格停止処分の取り消しを維持した)のが、本仲裁判断です。RUSADAの処分を取り消したDADCは、あくまでRUSADAとは別の独立機関です(103項)。
まず、暫定的資格停止処分の根拠となった規程7.4.1条が「要保護者」に関する特別の規定を置いていない点に着目する点ではDADC決定と同様ですが、CASパネルはそれを踏まえ、アンチドーピング規程には「欠缺」があると認識し、不合理な結論を回避するために仲裁廷はこの欠缺を補充しなければならないとの前提に立ちます(200項・なお(国際)法理論の観点からは、そうした法の欠缺補充があくまで「解釈」と性格規定されている点が興味深いですが、この点は別の機会に)。この前提から、CASパネルは、DADCのように証明責任に関する特則を規程7.4.1条に読み込むのではなく、義務的な資格停止処分を規定する7.4.1条に代わって選択的な資格停止処分を定める7.4.2条を適用し、本件事情下においては資格停止処分を課さない選択肢がとられるべきであったと判断します(202項)。証明責任・証明度の問題として論じられてきた「要保護者」概念が、CASパネルの仲裁判断においては処分根拠規定の選択問題に置き換わっているのがわかります。
■代替的な根拠
以上の判断に加え、CASパネルは「代替的な根拠」として、暫定措置に関するスポーツ仲裁の判例を参照することが適当であるとし、その要件(損害の回復不可能性、本案勝訴の見込み、利益衡量)がいずれも充足していると判断します。選手生命の短さを踏まえるとオリンピックのようなイベントに出場できない損害は回復し難いものであること、他方、ドーピング違反が確定すればメダル剝奪という措置がありうることなどが、主要な考慮要素として挙げられています(203項以下)。
その際、CASパネルは、ワリエワ選手のドーピング検査結果の通知に大幅な遅れがあったこと(20日以内が推奨されているところ、44日かかった)、しかも結果の通知がオリンピック期間中になってしまったことで、選手側が十分な防御を準備しうる状況にないことを併せて考慮しています(206項)。WADAによれば、20日以内という期限はあくまで推奨にとどまり、また本件の遅れはパンデミックによる関連ラボの人員不足によるものとのことですが、CASパネルは、アンチドーピング機構が十分機能しないことに由来する損害リスクにアスリートが服すべきではないという表現で、この説明を一蹴します(220項)。このように、「代替的な根拠」としてCASパネルが挙げた諸要素は、ワリエワ選手が「要保護者」であることとはひとまず切り離されているように思われます。いずれにせよ、CASパネルの判断の批評は、公開された仲裁判断の理由付けを踏まえて行う必要があります。
15 February 2022
欧州委、英国に対して条約違反手続を開始
9日付のプレスリリースで発表されました。長らく争われているMicula v. Romania仲裁判断の執行をめぐる新展開となります。仲裁判断の執行停止を解除した2020年の英国最高裁判所判決がTEFU第351条に違反すると主張する内容となっています。周知のとおり、英国はすでにEUから離脱していますが、離脱協定第87条に基づき、経過期間終了から4年後(2024年)までは欧州委員会は英国に対する新たな違反申立てを欧州司法裁判所に付託することができます。
仲裁判断に基づくルーマニアによる申立人に対する損害賠償の支払いが国家補助(TFEU第108条)を構成するとの欧州委員会の決定を一般裁判所が取り消す判決を下していたところ、司法裁判所は1月25日、破棄差し戻しを命ずる判決を下したことが背景経緯となります。
27 January 2022
ヤンゴン地裁、キリン子会社清算申立てを却下
申立却下の根拠は詳細には明らかにされていませんが、同発表によれば、申立ての制定法上の根拠の誤りとのことであり、異なる制定法の根拠に基づく再度の清算申立てがありうるとのことです。
キリンの合弁解消をめぐっては当事者間の交渉が難航していることが報じられてきており、国軍系企業側は現地の裁判所で手続きを進める一方、キリン側はシンガポール国際仲裁センターを通じた商事仲裁による合弁の解消を目指しています。
11 December 2021
米連邦裁判官、Facebookに対する証拠開示命令を取り消す
06 November 2021
オランダ最高裁、Yukos仲裁判断取消申立控訴審判決を破棄差戻し
オランダ最高裁は5日、Yukos事件仲裁判断の取消申立控訴審判決を破棄し、控訴審に差し戻しました。判決文は、現時点ではオランダ語のみが掲載されていますが、英訳がいずれアップロードされるようです。
2014年に被申立国ロシアに対して超巨額の損害賠償を命じた仲裁判断(Veteran, Yukos Universal, Hulley v. Russia)をめぐっては、その後オランダ裁判所において取消が申し立てられたところ、第一審は取消申立を認容したのに対し、控訴審は原判決を取り消す(よって仲裁判断が「復活」)という経緯を経てきたところで、最高裁は控訴審判決を破棄しており、二転三転してきております。最高裁は事件を控訴審に差し戻したため、事件はいましばらく続きそうな見通しとなっています。
29 October 2021
EU司法裁判所、ポーランドに対し1日当たり100万ユーロの制裁金支払いを命じる暫定措置を発出
EU法上、EUの予算のコンディショナリティーとして法の支配(司法の独立)の遵守が要求されており(規則2020/2092の第3条)、いわゆるコロナ復興基金(Next Generation EU)と法の支配の遵守とを紐つけて補助金の分配の停止を求める主張もあります。こちらの動きも別途注視する必要があります。
なお、たまたまですが、本命令の前日である26日付で、Achmea判決の射程をアドホック仲裁合意に拡張する(投資仲裁制度を定めるIntra-EU BITsがEU法に反するのと同様、EU加盟国と他のEU加盟国の投資家の間でのアドホックな仲裁合意もEU法に反するとする)判決(Poland v. PL Holdings)が下され、こちらも話題となっていますが、その中で、本件投資家(ルクセンブルク法人)は条約上の投資仲裁制度ではなくポーランド司法制度によって保護されるとした次のくだりが、以上の文脈と併せると興味深いところがあります(強調筆者)。
68 Secondly, the individual rights which PL Holdings derives from EU law must be protected within the framework of the judicial system of the Member States, namely, in the present case, the Polish judicial system. Consequently, even if it were established that there is a lacuna in the protection of those rights, as is alleged by PL Holdings, that lacuna would have to be filled within that system, if necessary with the cooperation of the Court in the context of its powers; however, such a lacuna cannot justify allowing a failure to comply with the provisions and fundamental principles referred to in paragraph 65 above.
10月30日追記:注視する間もなく新展開があり、上記コンディショナリティー規則の不遵守を理由として、欧州議会が欧州委員会を相手取り、EU司法裁判所に提訴したとの発表がありました。
13 October 2021
子どもの権利条約委員会、気候変動にかかる個人通報を却下
却下の理由は国内救済の未完了であり、その推論(救済を得られる見込みについて単に疑義を持つだけでは救済完了を免除しない:10.18項)も穏当なものですが、通報者の1人にGreta Thunberg氏が含まれていたため、多くのメディアが(ややセンセーショナルに)報じております。もっとも、通報者の氏名は国籍国のアルファベット名順に記載され、筆頭に記載されるのは別の個人(アルゼンチンの環境活動家のようです)の氏名となり、"Chiara Sacchi et al. v. Argentina [France/Germany/...]"として引用するのが正式になるかと思います。もっとも、敢えて"Greta Thunberg et al. v. Argentina"等として引用したからといって「誤り」ということにはならないかもしれませんが。
24 September 2021
米国連邦地裁、ロヒンギャ・ジェノサイドに関する証拠開示をFacebookに命令
ガンビアがFacebookを相手取り28 USC 1782に基づく証拠開示を求めていた事件で、米国コロンビア特別区地裁は22日、ガンビアの申し立てを大筋認め、Facebookに対して証拠の開示を命令しました。ガンビア政府も歓迎の意を表明しています。
本件証拠開示請求は、国際司法裁判所におけるGambia v. Myanmarの事件に関連して、原告ガンビアが、ミャンマー政府によるロヒンギャ・ジェノサイドの責任を追及するにあたって、ジェノサイドの意図を証明するための証拠資料を収集する狙いから提起されたものです。ミャンマーにおけるFacebookの利用率が非常に高く、反ロヒンギャ言説を広く伝播する役割を果たしてきたことが背景にあります。
2020年6月の開示請求から1年以上が経過しており、この間、懸案の国際司法裁判所での手続では原告ガンビアの申述書の提出が既に完了しているため、本件開示命令を通じて得られるであろう証拠資料は抗弁書に付して提出する必要があります。この点、現時点では先決的抗弁の審理期日も未発表ですので、原告側弁護団としては関連資料を消化する時間は十分あるように思います。さらには、本件提訴後に発生したミャンマーの軍事クーデターの影響もあるかもしれません。
15 September 2021
レバノン特別法廷、活動再開
財政難により休廷の危機に陥っていたレバノン特別法廷ですが、その後活動再開の見通しのようで、10月4日より口頭弁論が予定されていると発表されました。