International legal news mainly developments in litigation and arbitration, and sometimes my own updates
23 April 2021
COVID-19と国際法(9) 中国に対する慰謝料請求につき、民事裁判権免除を理由に却下した事例
21 April 2021
宣伝:国際司法裁判所における反訴の受理可能性
についての拙稿をベルギー国際法雑誌(Revue belge de droit international) 2020-1号に掲載しましたので、もしよろしければ御笑覧くださいませ。
韓国ソウル地裁、従軍慰安婦訴訟において主権免除を肯定し賠償請求を却下
すでに多くの報道がなされている通り(例えば)、4月21日付判決にてソウル地裁は元従軍慰安婦及びその遺族が日本政府を相手取り提起した損害賠償請求を却下しました。判決原文(のブログ著者が読める言語による翻訳)は未入手ですが、日本の主権免除が肯定され、その判断推論において「不法行為例外」および「強行規範違反例外」に関する国際慣習法の成立を否定したようです(抄訳)。国際司法裁判所のドイツ対イタリア判決に即した判断とみることができそうです(特に76項、93-94項)。
となると、国際強行規範違反については主権免除が否定されるという、上記国際司法裁判所の判決とは異なる推論を辿って真逆の結論に到達した本年1月8日付判決(要旨)との整合性が問題となりそうです。
ドイツ憲法裁判所、欧州復興基金を批准する国内法令への大統領署名の差止申立を却下
4月21日付のプレスリリースにより、15日付の命令で却下されたと述べられています。COVID-19対策として欧州委員会が7500億ユーロ相当の資金を市場から借り入れを行うことについての詳細を定めた欧州理事会決定(2020/2053)を批准する法令のドイツ基本法適合性が争われている事件における判断になります。注意すべきは、本命令はあくまで批准法令に対する大統領署名の差止め(einstweiligen Anordnung)請求をドイツ憲法裁判所が却下したにとどまり、いわゆる欧州復興基金のドイツ基本法適合性にかかる本請求についての判断は今後ということになります。