ちなみに、同決定の主たる争点はどちらかといえば、COVID-19パンデミックを理由としてオンラインでの口頭弁論開催を決定した仲裁廷に対して不服であった被申立国が行った仲裁廷全体に対する忌避申立てにあると思いますので(とはいえこれも却下、145項)、バランスよく読む必要があります。
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ちなみに、同決定の主たる争点はどちらかといえば、COVID-19パンデミックを理由としてオンラインでの口頭弁論開催を決定した仲裁廷に対して不服であった被申立国が行った仲裁廷全体に対する忌避申立てにあると思いますので(とはいえこれも却下、145項)、バランスよく読む必要があります。
69. [...] Les deux Parties reconnaissent qu’un certain nombre d’Etats accréditaires, tous parties à la convention de Vienne, imposent expressément aux Etats accréditants d’obtenir leur accord préalable pour acquérir et utiliser des locaux à des fins diplomatiques. [...] La Cour ne considère pas que cette pratique démontre nécessairement «l’accord des parties» au sens d’une règle codifiée à l’alinéa b) du paragraphe 3 de l’article 31 de la convention de Vienne sur le droit des traités en ce qui concerne l’existence d’une obligation d’obtenir un accord préalable, ou les modalités selon lesquelles un Etat accréditaire peut communiquer son objection à la désignation, par l’Etat accréditant, d’un immeuble comme faisant partie des locaux de sa mission diplomatique. Néanmoins, la pratique de plusieurs Etats, qui exige clairement l’accord préalable de l’Etat accréditaire avant qu’un immeuble puisse acquérir le statut de «locaux de la mission», et l’absence de toute objection à cette pratique, sont des facteurs qui vont à l’encontre de la conclusion selon laquelle l’Etat accréditant aurait le droit au titre de la convention de Vienne de désigner unilatéralement les locaux de sa mission diplomatique.
「事後の実行」には至らない散発的な(しかし重要そうに見える)国家実行を現行の条約解釈規則に照らしてどう位置付けて考慮できるかは(研究でも実務でも模擬裁判でも)悩ましい前提問題でしたが、本件ではとにかく「要素」だというのが裁判所の立場のようです。ちなみに、国連国際法委員会の立場は、事後の実行を確立するには至らない国家実行は第32条の「解釈の補足的手段」の1つとして考慮できるというものでしたので(これのp. 20, paras. 8-9)、裁判所はこれには与しなかった(あるいは事情が異なると考えた)ということかもしれません。
12月21日付のプレスリリースで発表されました。司法業務に関する決議に11条が新設されています。3名の裁判官(国籍裁判官・ad hoc裁判官を除く)から成る委員会が都度設立され、仮保全措置の実施に関する当事国からの情報を検討し、取りうる選択肢について裁判所に勧告を行うという仕組みです。
一部で議論されておりました、当事国から提出される報告書の一般公開の可否については特段言及はありません。ガンビア対ミャンマーの事件で、ミャンマーが提出した仮保全措置の履行に関する報告書についてロヒンギャ支援団体が一般公開を求める書簡を公表しており、話題となっていましたが、この点に応えた措置ではないようです。訴答書面も口頭弁論開始までは公開されないのでこれと平仄を合わせているとみることもできますが、国際海洋法裁判所では、特段明示の根拠条文なく一般公開される実務となっているので(例えば)、国際司法裁判所でも規程や規則の改正が必須の前提というわけではなさそうです。
第三者的には透明性が高いことが望ましいともいえますが、もし公開するのであれば、今後出てくる報告書は(良くも悪くも)そのことを前提とした書きぶりになってくるだろうということは念頭に置く必要がありそうです。
国連総会の要請により、国連事務総長により設立される見通しです。Judicial Fellow(旧University Trainee、いずれにせよ、日本語訳は難しいです)プログラムは、候補者を送り出す側の大学が資金面での負担を負うため、財政的制約により、候補者を派遣できる機関が米国ロースクールを中心とした特定地域の大学に偏ってしまうという課題があり、その是正措置と位置付けられます。
基金の対象は、「途上国にある大学出身の途上国国民(nationals of developing countries from universities based in developing countries)」とのことです(15項)。残念ながら、先進国にはあるけども財政的には制約がある大学出身の場合には対象とならないようです。