26 May 2020

COVID-19と国際法(1) 感染症関連の訴訟状況



COVID-19感染拡大状況の中、米国ミズーリ州が中国を相手取り不法行為請求訴訟を提起したことは、日本でも少し話題となったかと思います。COVID-19関連訴訟としては他にも、スイス連邦政府が実施したウイルス対策措置の違憲性を争う訴訟は連邦裁判所によりすでに退けられ、ナイジェリア政府がウイルス対策の名のもとに人権侵害行為を行っているとの申立てがECOWAS司法裁判所に係属したと報じられています。この後者の事例は、私の知りうる限りでは、COVID-19関連措置が国際裁判の俎上に乗る最初の事件かもしれないです。

国際法と新型コロナウイルスとの関わりを論じるブログポストはすでに無数に公表されており(例えば)、とりわけ中国の国際責任の追及可能性を論じるものが数多く登場しています。事態が収束していない現時点で誰かの責任を追及すること自体どこまで生産的であるか疑問は残るものの、とはいえ(国際)法的にどのような手段・対処策がありうるのかを整理しておくことは、取りうる選択肢の中で実際にどの手段に依拠するかという政策判断に先行する作業ですので、いくつかポストを五月雨式に連投してみたいと思います。