28 June 2025

ウクライナ侵略犯罪特別法廷の設立に向けた国際協定の締結

 


25日付で、欧州評議会とウクライナ間で締結されました。合意文書はこちら。ロシアによるウクライナ領域内での戦争犯罪については、(非常に限定的な事項について)すでに国際刑事裁判所に事態が付託されていますが、侵略犯罪については管轄権を行使できない状況にあったことから、国際刑事裁判所を補完するべく設立が目指されていると説明されています。ウクライナの事態につき国際刑事裁判所の管轄権を基礎づけていたウクライナの宣言(2015年)は、人道に対する罪と戦争犯罪に関する裁判所の管轄権を認めつつ、侵略犯罪については言及していませんでした。ローマ規程がウクライナにつき効力を発生したのは本年2025年1月なので、時間的空白が生じていたことになります欧州評議会が主導していますが、特別法廷の運営は「拡大部分合意」によることから(第5条)、日本を含めたオブザーバー国も参加することができます。類例はこちら

ちなみに、特別法廷の所在地は「拡大部分合意に参加したいずれかの国に置く」とされており(第2条)、(まだ)ハーグであると決まったわけではないようです。さらにちなみに、ウクライナ侵略犯罪の訴追に向けた国際司法協力のハブを設置したユーロジャストの事務局もハーグにあります。